<h1 style="display:none">九州大学大学院 博士課程教育リーディングプログラム 分子システムデバイスコース 分子システムデバイス ダ・ヴィンチコース</h1>
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【一流学: 一般公開特別講義】2015年10月4日(日)濱口 秀司『 研究とビジネス-Break the Bias- 』

「イノベーションを起こせ!」あるいは「イノベーションが必要だ!」。いま日本企業の研究・開発部門では、このような掛け声が飛び交っています。けれども、そもそもイノベーションとは何だろうか。どうすればイノベーションを起こせるのだろうか。2015年10月4日(日)一般公開特別講義 一流学に濱口 秀司氏をお迎えしてお話を伺いました。

What is Innovation?

まずイノベーションとは何か? この質問には、人により様々な答えがあるでしょう。「新しいこと」「新しい価値を生むこと」「ライバルに対して競争力を持つこと」、中には「S t e v e Jobs」と答える人もいるかもしれません。
私は、イノベーションを次の3つを満たすことと定義しています。「New=新しいこと」「Doable=実現可能なこと」「Controversial=賛否両論あること」です。
ポケットから出して「はいっ!」と見せたとき、「どこかで見たな」と思われるのはイノベーションじゃない。逆にいくら斬新でも実現不可能なアイデアはファンタジーでしかない。
「これ、どう思う?」と尋ねて、全員が拍手喝采するのは違うし、全員反対も問題です。割合はともかくとして、賛成反対どちらもあることが望ましい。
ところで「新しい」と判断するのは誰か。人間の脳でしょう。そこで忘れてはならないのが、脳にはバイアスがあるということです。
バイアスすなわち先入観は、人が生きていく上で欠かせないものです。バイアスがあるから、余計なことを考えずに済み、効率が高まります。一方でバイアスに因われていると、イノベーションを起こすことはできません。しかもバイアスは非常に強力で、人は自分がバイアスに絡め取られていることになかなか気づかない。イノベーションを起こすためには、バイアスを壊すことがカギとなります。

How to Break the Bias?

では、バイアスをどうやって壊せば よいのか。壊す方法は、大きく3つあ ります。
まず、自分が囚われているバイアス を視覚化すること。 2つめは、バイアスに構造を与える こと。もう一つは、アイデアに着目するのではな、アイデアの背後に潜んでい るパターンを見つけること。
私が開発したUSBフラッシュメモ リーを例に説明しましょう。1999年、コンパクトフラッシュメモリのメー カーM-Systems社は、勝負の土俵を変えるためコンシューマープロダク トの開発に取り組みました。ブレスト を繰り返して、100のアイデアが出て きました。そのアイデアを見た時、単 純なチャートに表せることに気づき ました。
データを扱うデバイスは、tangible( 感じることができるもの)からintangible(感じることのできないも の)へと移行していて、データのサイ ズもどんどん大きくなっています。データサイズは大きくなり、運ぶ手段はネット、つまり触ることのできない ものになります。けれども、どんなに データサイズが大きくなっても、人は自分の手に触れる形でデータを持っ ていたくなるときがあるはず。従って大きなデータをtangibleにすること が、イノベーションになるのです。
こうして生まれたUSBメモリーは、M – S y s t e m s 社にとって起死回生のヒット商品となりました。

Where to Break the Bias?

次に視点を変えて考えてみましょう。イノベーションを、どこで起こせばよいのか。Business、Technology、Consumerを一直線に並べたフォーマットで考えます。
例えば、1 9 7 0 年代のコンピュータービジネスは、テクノロジーの領域だけで競いあっていました。勝つため にはテクノロジーに投資すればよかったのです。CPUのパワーアップや、ユーザーインタフェイスの改善などがイノベーションにつながりました。
ところが1983年、コンピューター業界のイノベーターDellが現れました。同社はコンピューターメーカーで ありながら、テクノロジー以外の領域に目をつけたのです。コンシューマーサイドで、コンピューターをオンラインでカスタマイズ注文できるようにしました。