【一流学:一般公開特別講義】『グローバルで勝負するために』

『一度だけの人生を賭けるテーマはあるか?』
孫 泰蔵(MOVIDA JAPAN株式会社 代表取締役社長兼 CEO)

人生を180度ひっくり返した出会い

「泰蔵、お前好きなように生きてよかぞ」と親父に言われ、「泰蔵、お前も男に生まれたんやったら、志ば持って熱く生きんといかんばい」と、兄貴に説教されました。今の皆さんと同じ、学生時代の話です。とはいえ、好きにしてよいと言われても何をしたいのか分からないし、ましてや「志」なんてあるはずもない。
ただ、一つだけ考えていたことがあります。どのように生きたとしても、人生は一度限り。せっかく、この世に生まれてきたのだから、情熱を注げるテーマに取り組みたい。けれども、やりたいことが見つからない。悶々としていた頃のある出会いが、僕の人生を足元から覆しました。
1995年12月、Y ahoo!の創業者ジェリー・ヤン氏と会ったのです。創業して間もない頃なので年商はゼロ、でもジェリーをはじめ15人ほどの社員がみんな、楽しくてしょうがないという感じで働いていた。その姿を目の当たりにして感動し、こんな生き方があるんだと興奮しました。
そのジェリーから「Y a h o o !JAPANを作りたいから、手伝ってくれ」と誘われたのです。その夜は興奮して眠ることができませんでした。この出会いが、まさにターニングポイントとなったのです。

一隅を照らせ!

契約したいとジェリーに言われ、会社を作る決意をしました。もちろん経験ゼロです。でも、これからの起業は、その方がいい。これまで世の中になかったことをやるなら、そもそも経験などないはずです。とにかく自分で考えて動きながら、必死で修正していくしかない。
無我夢中で人生を駆け抜けてきたおかげで、世界でトップレベルの人たちと知り合う機会を得ました。彼らから学んだことを5つ、お伝えします。
一番大切なのが「Think Big !デカく考えろ」です。アイデアレベルで膨らんだ妄想をそのまま活かす。できる
限り多くの人を救うこと、世界を大きく変えることにこだわってほしい。二つめは「仲間を探せ!」。何でも共有できる仲間を最低一人、理想をいえば二人見つければ、半分成功したも同然です。三つめは「人に習うな!」です。何かを参考にすれば、それを超えることはできません。自分の知恵を絞ることがイノベーションを生みます。四つめは「目標を立てろ!」で、定量化した目標を立てて、わり算でスケジューリングする。1年で本を300冊読むと決めたら、1ヶ月25冊、つまり1日1冊のペースで読むことです。
最後は僕の座右の銘でもある「一隅を照らせ!」。みんなが気付いていないけれど誰かが引き受けなければならないこと、気付いていながら後回しにしていること、これが一隅です。難題にチャレンジする起業家が、自分
の「一隅」を照らす。そんな起業家が増えれば世界が変わる。一隅を照らすためがんばる人を応援する。これが僕のこれからの役割です。

IMG_9111

 

『これからの勝負の土俵はグローバル・ニッチ』
小笠原 治(株式会社 ABBALab 代表取締役・株式会社 NOMAD 代表取締役)

発想の転換が必要な時代

今日の講演タイトルを、もう一度確認しておきます。グローバルで「勝つ」ではなく「勝負するために」です。世界で競い合って勝つ
となると、才能だけでなく、それ相応のヒト・モノ・カネが必要となるでしょう。けれども、そんなものがなくても、優れたアイデアさえあれば勝負の土俵に上がることは十分可能だし、簡単に負けることも決してない。そんな時代になってきています。
2014年6月に株式会社C e r e v oを買収し、グローバルで勝負中です。当初、少数精鋭1 0 人だった従業員を、エンジニアを中心に半年で50人にまで増やしました。スズキ自動車、パナソニック、ソニー、タカラトミーをはじめとする日本を代表するメーカーで働いていた人達が新しく加わってくれました。私は彼らを「ジャパニーズ・ハードウェア・ドリームチーム」と呼んでいます。
Cerevoが目指すのは、大手メーカーではまず不可能な超スピードでの開発です。100億円のプロダクトを作りだすのは大変です。しか
し、私達は1億円のビジネスを100 個作ればいい。ぶっ飛んだアイデアをカタチにして、次々世に送りだす。世界を相手にするなら、面白いアイデアさえあれば1億円売ることは決して難しくありません。これが「グローバル・ニッチ」の考え方です。「世界でひとつだけの製品を作って世界中で売ろう!」を合言葉に頑張っています。

作れない理由など、既に何もない

Cerevoは企画開発に特化した会社で、基本的に1チーム4人で商品開発に取り組んでいます。設計さえきちんとできていれば、必要な
電子基板、電子部品、ソフトウェア、メカなどすべて買ってくれば良い時代なのです。試作品を3Dプリンター等で作って確かめた後、筐体は中国のA社、基板は中国のB社、これをアメリカで仕入れたパーツも含めて全部フィリピンに送って組み立てる。完成前の段階でネットを使って売り出し、イノベーターの意見を聞いて改良を加える。仕入先を選択するときには、5 社ぐらいを相手にリアルタイムで同時にチャットで商談を進める。これが、これからのモノづくりです。大きなメーカでなくても可能なのです。
新製品は、FacebookやTwitterでPRする。展示会があれば、どんどん出展する。SNSはニッチなコミュニティーにアクセスするのには、最適なメディアです。世界で1億円だけ売るつもりなら、これで十分勝負になる。我々の売上比率は、海外24カ国と国内が半々。このサイクルを4人1組のチームでぶん回していけば、結果的に年商が100億に達する可能性も否定できません。
モノづくりは、既にまったく新しいパラダイムに入っているのです。製造設備など何一つ不要で、グローバルニッチで勝負できるア
イデアさえあれば、作れない理由は何もありません。ぜひ、言い訳や諦めを自分で作ら

IMG_9158

[文:竹林篤実]
(平成27年3月4日(水)一般公開特別講義 『グローバルで勝負するために』より。広報誌”Newsletter” vol.7 掲載)