【一流学: 一般公開特別講義】2016年12月3日(土)外村 仁氏『君たちの中にある才能を開花させよう』

AIが恐ろしいまでの勢いで進化し始めている。いま人が行っている仕事の多くが、近い将来AIに取って代わられるとの予想もある。仮に、そんな世の中が実現するとすれば、人は何をすればよいのだろうか。2016年12月3日(土)一流学・一般公開特別講義に林 信行氏、外村 仁氏をお迎えしてお話を伺いました。

    “Just Do It !”

外村 仁/Hitoshi Hokamura
First Compass General Partner/エバーノート特別顧問

1963 年熊本県生まれ。
東京大学工学部卒業後、戦略コンサルティング会社Bain and Company で、
外資系 および日系企業の経営コンサルティングに従事。
1992 年よりアップルコンピュータ社で市場開発やマーケティング本部長職
などを歴 任。
1997 年に同社を休職し、陸路でヨーロッパにわたりINSEAD(フランス)、
と スイス国際経営大学院(IMD)のMBA を取得。
2000 年にシリコンバレーでストリー ミング技術のベンチャーGeneric
Media を共同創業、世界初の技術で注目を集め、 $12M の資金調達から
売却までを経験。
その後はFirst Compas Group のジェネラルパートナーを務める傍ら複数
のスター トアップ・アドバイザーとして活躍中。
シリコンバレー日本人起業家ネットワーク(SVJEN)の初代代表。
起業志向のエン ジニアを支援するOpen Network Lab のメンターでもある。

 IoT が世界を変えていく

IoT が日常生活にどんどん入り込んできています。その一例がアメリカでのUber(ウーバー)。最初は、スマホアプリで呼べば、黒塗りのハイヤーみたいなクルマが来ていました。やがて暇な人が自分のクルマに乗せる方式になり、今ではウーバープールと呼ばれる、何人かで相乗りするタイプも出ています。同じ目的地を目指す人の数と場所から、クルマの効率的なルートをAI が瞬時に判断し指令を出す。相乗りを希望しても、他の客を乗せるのが遠回りで非効率と判断されれば、一人乗りとなり安くならないケースがある一方で、普通なら10 ドルぐらいかかるところに2 ドルぐらいで行けたりする。現状に合わせてリアルタイムで運賃が変動するシステムは、従来の移動の概念を覆します。
こうした変化は日本にいると実感できないかもしれません。けれども、世界ではどんどん変化が起こっている。この流れに置いてけぼりにされないためには、積極的に世界に出ていくしかありません。

壁を越えろ

製品開発でも、日本と世界は違う。精度を高めるためなら、最後は人間が機械に合わせれば良いと考えるのが日本式。世界では逆で、人間を徹底的に楽にするための機械化を突き詰める。日本では「人は苦労した方がいい(=楽したらだめだ)」と考えるようですが、そんなのナンセンスです。
業種や業界の壁に捉われるのも良くない。以前、異業種混合でハッカソンをやった時に、とても盛り上がりました。普段、まったく違うテーマを考えている者同士が出会うと、思考がスパークするのです。世の中を本当に良くしたいと思うなら、壁を乗り越えることです。
なにか新しい課題に挑戦するとき、日本では「それをやっても問題が起こらない」と誰かが保証するまで、動き出さない傾向があります。これも世界では逆です。問題があるかどうかはやってみないと分からない。だったら、すぐにチャレンジした方がいい。その結果、問題が起こっても構わない。問題が明らかになれば、対応を考えられる。これからの世の中で大切なのは、問題そのものを見つけるマインドです。

問題を見つける力

発想を変えて、“ 学ぶ” という考え方を捨てましょう。既にある知識を学ぶのではなく、新しい何かを発見するんだと自分の意識を変える。自分に鞭打って努力するのではなく、夢中になって楽しむ。
誰かに何かを教わるだけでは、新しいものは生まれてきません。答えがない問題を解決するから発見があるので。求められるのは、未知の問題を解決する力です。
そのために必要なのが、問題の設定力、つまり自分で問題を見つける力です。これが最近の日本人は弱いと、指摘される部分です。スタンダードを几帳面に守るモノづくりはできるけれど、デファクトそのものを創り出すことができない。けれども、ルールに従う作業は、今後すべてAI に取って代わられます。AI にはできないこと、人間にしかできない仕事は、問題の設定ではないでしょうか?

考える、動く、変える

問題設定力を鍛えるために、人から多様な視点の意見を聞きましょう。生の情報をたくさん取り入れると、情報を分別する力が高まります。次は発見の練習です。発見力は場所を変えることで磨かれます。さらに現実に世界を変えている人を実際に見てほしい。セルゲイ・ブリンが何を言っているのか、マーク・ザッカーバーグの主張は何か。彼らの生の声を聞き、まず自分で考えて欲しい。
考えた結果を友だちと議論する。自分の意見に先生からコメントをもらうのも良いでしょう。確かに九大もすごいところかもしれないけれど、世界にはもっとすごいスポットがいくらでもある。だから、どんどん外に出ていき、様々なテーマにチャレンジしてほしい。
挑戦して、うまくいかなかったら、すぐに方向転換すればいい。「日本男児たるもの、一度口に出したことは最後まで変えない」など思い込むのは害悪でしかない。とにかくやってみて、改善を続けることです。一度失敗しても、また気楽に次を始めればいい。トライし続けることに意義があるのです。
幸せとは、次の3 つの条件を満たした状態だと私は思います。1 つ目は、我を忘れて夢中になれるようなテーマを持っていて、それに打ち込める。2 つ目は、他者に貢献して、自分が世の中の役に立っている実感を持つ。3つ目は、自分より優れた誰かとつながっていて、その人から学ぶ。夢中になる、世の中の役に立つ、いい人と繋がる。この3 つが揃っていると幸せにつながり、成長も加速されます。
という私の話を聞いて、一生懸命にメモを取ってくれるのも嬉しいけれど、それより何より「今日から、私はあれをやろう」とテーマが何か浮かんだ人が一人でもいてくれれば、それが何より嬉しい。Just Do It です。

【文:竹林 篤実】